今回は保育士になる方法を紹介していきます。
近年、話題にあがる『保育士不足』のニュース。
保育園の現場にいる筆者も、保育士不足を実感していて足りない保育士の分の負担が重くなっています。
保育士不足の原因は、「賃金が安いこと」や「重労働」などがありますが、
「保育士になる方法があまり知られていないこと」も重要な問題です。
保育士は『保育士』の国家資格を以下の2通りどちらかの方法で取得しなければいけません。
・保育士養成学校の卒業
・保育士国家試験の合格
保育士になるための必要な資格取得の仕方の詳細はこれから紹介していきます。
・保育士とは?
そもそも保育士という職業の定義は児童福祉法の第18条の4によると
「保育士とは、保育士の登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者をいう」
と記されています。
保育士は簡単に、子どものための施設で子どものお世話をする専門家ということです。
また保育士は国家資格という、国から認められている、社会的に信頼性が高い資格として保証されています。
では、さっそく保育士になる方法をみていきましょう。
・保育士になる方法
保育士資格取得する方法で一般的に知られているのは、保育士養成学校を卒業することです。
学校を卒業する以外にも、社会人向けに毎年2回開催される保育士国家試験を受けて合格することで資格を取得することができる方法があります。
どちらの方法で保育士資格を取得しても、同じ保育士資格になります。
1つずつ詳しく紹介していきます。
指定保育士養成施設(養成校)の種類
保育士養成校は全部で3つの施設があり、卒業すると保育士資格が取得できます。
保育士養成校は以下の3つです。
・大学(4年制)
・短期大学(2年制)
・専門学校(2年制)
これらの養成校は、保育専門のカリキュラムがあるだけではなく、保育実習が授業に盛り込まれているため、実際に保育園で働くイメージがつきやすい特徴があります。
4年制の大学では、保育だけでなく心理学、法律などの子ども関連の授業を受けることができ、より深く保育の知識を得られるメリットがあります。
保育士養成校の費用
養成校によって学費は大きく変わります。
費用は、4年制の大学が一番高く、短期大学と専門大学が同じくらいとなっています。
費用の目安は以下の通りです。
・大学:400~500万円程度
・短期大学と専門学校:200~350万円程度
費用を抑えたい人は短期大学と専門学校のコースに進むことがいいでしょう。
保育に関わることをトータルで学びたい人は、大学でじっくり授業を受けることをおすすめします。
保育士試験の受験
社会人の多くが保育士を目指して進むルートは、保育士試験です。
保育士になる方法で、保育士養成校に通わずに、保育士試験という国家試験を合格することで資格取得が可能です。
保育士試験の概要
保育士試験は保育士資格取得を目的として一般財団法人全国保育士養成協議会により開催されている試験です。
保育士試験は、毎年2回、4月と10月ごろに実施されています。
筆記試験を合格したのちに実技試験を受けるという、2種類の試験を合格することで、保育士資格を取得できます。
保育士試験の受験資格
保育士試験には大きくわけて4つの受験資格があります。
・大卒と短大卒…受験可能
・専門卒…「学校教育法に基づいた専修学校」「卒業した課程が修業年限2年以上の専修課程」の両方を満たしていること
・高卒…「平成3年3月31日以前の卒業」それ以降に卒業した人は「児童等の保護または援護に従事した勤務経験が2年以上かつ2880時間以上」
・中卒…「児童等の保護または援護に従事した勤務経験が5年以上かつ7200時間以上」
以上の方が保育士試験の受験資格があります。
保育士試験の筆記試験の科目
保育士試験は毎年2回、4月と10月ごろに実施されています。
筆記試験と実技試験の2種類の試験を合格することで、保育士資格を取得できます。
筆記試験の試験科目は全部で9科目となっています。
- 保育の心理学
- 保育原理
- 子ども家庭福祉
- 社会福祉
- 教育原理
- 社会養護
- 子どもの保健
- 子どもの食と栄養
- 保育実習理論
以上の各9つの科目を、満点の6割以上の得点をとると合格になります。
ただし、⑤教育原理と⑥社会養護は、両方とも6割以上の得点が必要です。(片方のみ6割合格しても合格にはなりません。)
保育士試験の実技試験
実技試験は、以下の3つのうち、2つ選択して合格する必要があります。
- 音楽に関する技術
- 造形に関する技術
- 言語に関する技術
音楽に関する技術では、指定された曲をピアノかギター、アコーディオンを使用して歌う試験です。
造形に関する技術では、指定されたテーマの絵を制限時間内に描きます。
言語に関する技術では、試験官の前で3分程度の絵本の読み聞かせをします。絵本は内容を覚えて、暗記しなければなりません。
これら2つを選択して、両方50点満点の6割の得点を取ると合格になります。
保育士試験の費用
保育士試験の費用は、保育養成校に通うよりも格段に安くなっています。
保育士試験の費用は
・受験手数料:12,700円
・受験の手引き郵送料:205円
以上の合計12,905円となっています。
何百万とする養成校に比べると、とてもお得にみえますが、9科目すべて6割の得点を1回の試験で取れた場合です。
保育士試験の合格率と難易度
保育士試験の合格率は20%前後で、難易度は高くなっています。
9科目すべてで6割以上の得点を取る必要があり、1科目ずつが難しいため合格率が低くなっています。
しかし、一度合格した科目は3年間有効になるという制度があるため、3年間で調節しつつ全科目合格することができます。
保育士資格取得のメリット
保育士資格を取得するメリットは、さまざまな保育施設で仕事ができることです。
たとえば、公立保育園、私立保育園(認可、認証)、ベビーシッター、院内保育、企業内保育などの保育施設があります。
また、アルバイト、パートなどで副業保育士としての短時間の働き方もあります。
保育施設だけでなく、一般企業でも、おもちゃ屋や子ども服など、子どもが関わるあらゆる形態での就職に知識を活用できます。
さらに、年齢に関係なく、保育士資格は習得できるので無限の働き方ができます。
保育士資格取得のデメリット
保育士のデメリットとして、昔から保育士には「低賃金」や「重労働」といったイメージがあります。しかし近年、国で保育士の働き方の見直しされてきており、現場の状況が変わりつつあります。
数年もすると、保育士は自分に合った働き方を叶えてくれる理想の職業になっているでしょう。
まとめ
今回は保育士になる方法を、指定保育士養成校と保育士試験の2種類紹介しました。
どちらの方法で保育士になっても、同じ資格なので、自分の取得しやすいやり方でアプローチしてみてください。
また保育士資格のメリットは年齢関係なく取得することができ、幅広く働けるところです。筆者の知り合いにも、50代で保育士試験に合格して、保育士として現役で活躍している人もいます。
この記事を読んで、保育士資格に挑戦する人の背中を押せたら幸いです。
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